キャリア決済とは、携帯電話会社が提供する決済サービスであり、オンライン上で購入した商品やサービスの代金と、携帯電話の料金をあわせて支払うことができる仕組みが最大の特徴です。ECサイトでのショッピングやアプリの課金、動画・音楽配信サービスの月額利用料などの支払いを手軽にできる決済手段として、特に若年層の顧客層を中心にニーズが高まっています。
1. 「キャリア決済」の仕組みと主要な種類
キャリア決済は、契約中の携帯電話のIDとパスワードを使って決済を完了できる手軽さが特徴です。
キャリアが立替払いする決済の仕組み
キャリア決済は、利用者、事業者、携帯キャリアの三者間で進行します。利用者が画面で決済方法を選択し、IDとパスワードを入力して商品を購入すると、事業者から携帯キャリアに決済情報が送信されます。
その後、キャリア各社は、代金を通信費用と合算して利用者に請求しますが、事業者へはキャリアが代金を支払います。これにより、事業者は代金未回収のリスクを負う必要がなくなります。
主要なキャリア決済サービスと利用限度額
主要キャリアの決済サービス一覧
| キャリア名称 | キャリア決済の名称、利用資格など |
| 楽天モバイル | 「楽天モバイルキャリア決済」 |
| ソフトバンク |
「ソフトバンクまとめて支払い」 ※ソフトバンク、LINEMO、Y!mobileのユーザー向け。 |
| NTTドコモ |
「d払い」 ※ドコモ回線利用者以外も、dアカウントを発行すれば利用可能に。 |
| au |
「auかんたん決済」 ※au、UQ mobile、povoのユーザー向け。 |
利用限度額は・・・
いずれのキャリア決済も、20歳以上の利用者の場合、利用限度額は月間100,000円が上限となっています。ただし、この上限額は利用者の年齢によって異なり、未成年者の場合は低く設定されています。
※例:auかんたん決済の場合、12歳未満は最大で月額1,500円。
2. 利用者と事業者から見た「キャリア決済」のメリット
キャリア決済は、手軽さと安全性の高さから、特にオンラインショッピングにおいて利用者と事業者の双方に大きなメリットをもたらします。
利用者にとってのメリット
キャリア決済を利用する最大のメリットはスムーズな支払いができる点ですが、以下の通り、お客さまにはさまざまなメリットがあります。
メリット |
詳 細 |
| 決済手続きの簡単さ | クレジットカード決済のように16桁のカード番号や有効期限、セキュリティコード、個人情報などを入力する手間が省け、IDとパスワードの入力だけで短時間で決済が完了します。 |
| 安全性の確保 | クレジットカード情報の漏えいや不正利用のリスクを回避できます。 |
| 未成年者も利用可能 | クレジットカードを持っていない未成年者がオンラインショッピングをする際、有効な支払い方法となります。 |
| 使い過ぎ防止に有効 | 利用限度額が低い(20歳以上で月間10万円)ことに加え、利用者自身が限度額の範囲内で上限を設定できるため、使い過ぎの防止に効果的です。 |
事業者にとってのメリット
キャリア決済を導入する事業者側は売上向上とリスク軽減という大きな利点の他に、以下のようなメリットが享受可能です。
メリット |
詳 細 |
| 機会損失の防止 |
決済手続きの簡略化により、クレジットカード情報入力の手間を煩わしく感じる利用者の離脱を防ぎ、機会損失のリスクを低減できます。
|
| 若年層の顧客獲得 | クレジットカードを持たない若年層の顧客獲得に取り組むことで、その年代の顧客の売上向上が期待できます。 |
| 代金未回収リスクの軽減 | 正常に手続きが完了した代金はキャリアが事業者に支払います。キャリアへの代金が未払いになった場合も債権はキャリアに譲渡されているため、事業者が回収する必要がありません。 |
3. 「キャリア決済」導入のデメリットと課題
多くのメリットがある一方で、キャリア決済には、特に事業者が注意すべきいくつかのデメリットや制約があります。
事業者側の主なデメリット
デメリット |
詳 細 |
| 決済手数料が高い | キャリア決済の決済手数料は、一般的にクレジットカードよりも高めだといわれており、代金の数%〜10%程度が目安とされます。 |
| 高額商品やサービスには不向き | 利用限度額の上限が月間10万円と低いため、価格帯が高い商品を販売する事業者にとっては、購入代金が限度額をオーバーし、機会損失につながるリスクが非常に高くなってしまいます。 |
| キャリアごとの審査が必要 | 導入には所定の審査を受ける必要がありますが、審査内容や基準は非公開であり、一つのキャリアの審査を通過しても他のキャリアでは通過できない可能性もゼロではありません。 |
利用者側のデメリット
デメリット |
詳 細 |
| 利用限度額の上限が低い | 月間10万円という上限は、高額な商品や頻繁な購入には向いていないというデメリットになります。 |
| モバイル回線が必要 |
携帯電話と連携した決済方法であるため、利用時にはモバイル回線を経由してインターネットと接続する必要があります。Wi-Fiや有線インターネット接続をしたパソコンでは基本的に利用できません。 ※パソコンでの購入に利用できるサービスもあるが、スマートフォンによる認証が求められることも。 |
4. 「キャリア決済」の効果的な導入方法
事業者がキャリア決済を導入する方法は、「通信キャリアと直接契約する」方法と「決済代行会社を通して契約する」方法の2つがあります。
1.通信キャリアと直接契約
仲介手数料などを削減できる可能性がある反面、キャリアごとに審査や契約、決済機能を実装するための開発コストや運用コストが発生します。
2.代行会社を通して契約
複数のキャリアとの契約や決済システムへの接続を一括して実施できます。仲介手数料や利用料は発生しますが、直接契約と比べて導入や運用に必要な作業やコストを大幅に軽減することが可能です。また、直接契約で入金日がキャリアによって変わってしまう場合があるのに対し、代行会社を通せばすべてのキャリアの入金日を統一でき、売上管理の効率を高めることができます。
5. まとめ
キャリア決済は、IDとパスワードだけで支払いが完了する手軽さにより、特に若年層の顧客を取り込み、決済時の離脱を防ぐための「顧客利便性の高い高速道路」のような役割を果たします。ただし、高めの決済手数料と利用限度額の制約を考慮のうえ、販売する商品やサービスの価格帯に応じて導入の適性を判断することが、成功の鍵となります。
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