業態に関わらず、事業を運営するうえで、日々の入出金を正確に把握することは健全な経営の第一歩です。そのお金の流れを記録、管理するために欠かせないのが「出納帳(すいとうちょう)」です。
本記事では、これから事業を始める方や経理の初心者に向けて、出納帳の種類や作成するメリット、そして実践的な「出納帳の書き方」の基本ルールと注意点を解説します。
1. 出納帳の2つの種類とは?
出納帳とは、事業で発生したお金の入出金を記録した帳簿のことで、言わば「事業の家計簿」です。
事業におけるお金の流れは、大きく現金と銀行口座の2つに分かれます。そのため、出納帳も以下の2種類に分けて管理するのが一般的です。
出納帳の種類 |
詳 細 |
|---|---|
| 現金出納帳 | 現金が「いつ、いくら、何のために」出入りしたかを管理する帳簿です。商品の現金売上や、銀行から現金を引き出した際などに記録します。 |
| 預金出納帳 | 銀行口座ごとの入出金を記録する帳簿です。複数の口座がある場合は、口座別に作成することで後々の管理が楽になります。 |
2. 出納帳をつける3つのメリットとは?
出納帳は、個人事業主や経営者にとって以下の大きなメリットがあります。必ず作成しなければならない法定帳簿ではありませんが、このメリットを考えればつけない手はないと言えるでしょう。
出納帳をつけるメリット各種 |
詳 細 |
|---|---|
| お金の流れの可視化 | 日々のお金の出入りを数字で把握することで、「気づいたら資金が底をついていた」という事態を防ぎ、適切な資金の使い方を判断できます。 |
|
将来の資金繰りへの準備
|
週ごとや月ごとのお金の流れが可視化されるため、「数ヶ月後にいくら現金が必要か」という予測が立てやすくなり、計画的な経営の一助となります。 |
| 不正やミスの防止 | 従業員を雇っている場合、現金の出入りを日々記録、確認することで、不正な持ち出しへの強力な抑止力となります。万が一のトラブルも早期に発見でき、対処しやすくなります。 |
3. 基本の「出納帳の書き方」と必須4項目とは?
ここからは、より使用頻度が高く重要な「現金出納帳」を例に、具体的な「出納帳の書き方」を解説します。
現金出納帳には厳密な規則はありませんが、現金の流れを管理するために、以下の4項目を記録するのが必須です。これに加えて、「勘定科目」を加えるケースも多いようです。
記載必須の4項目 |
詳 細 |
|---|---|
| 1)日付 | 入出金があった日付。同日に複数ある場合も合算せず、取引ごとに分けて書くのがポイント。 |
| 2)摘要 | 取引の目的や、支払先、入金元などの詳細を記入します。 |
| 3)入金額 / 出金額 | 原則として税込金額を記入します。税抜経理を行っている場合は、税抜金額を記入します。 |
| 4)残高 | 取引後の手元の現金残高を記入します。 |
月ごとの出納帳の書き方の流れ
以下のように、記入するタイミングによって留意点が異なるため、注意しましょう。
記入時の留意点 |
詳 細 |
|---|---|
| 月初 | 前月から繰り越された金額を記入。摘要は「前月繰越」とします。 |
| 日々(月中) | 現金が動くたびに、領収書やレシートをもとに4項目を記録します。 |
| 月末 | その月の「入金額の合計」と「出金額の合計」を算出のうえ、記入します。最後に、翌月に繰り越す額を算出し、「次月繰越」として出金欄に書き込みます。 |
4. 出納帳の正しい運用のための3つの注意点
ルールに沿った「出納帳の書き方」以上に大切なのは、正しく運用すること。記載にあたっては、以下の3点に特に注意しましょう。
記載時の留意点 |
詳 細 |
|---|---|
| 記帳後に実際の現金残高と照合する | 記帳して満足するのではなく、手元の現金の残高と帳簿の数字が合っているか必ず確認しましょう。もしも差異があり、原因が不明な場合は、一時的に『現金過不足』で処理し、原因が判明次第、正しい勘定科目に修正します。決算時に解消されない現金過不足は、雑収入または雑損失として処理します。決して自腹で補填して帳尻を合わせてはいけません。 |
| 事業用の財布を持つ | プライベートのお金と混ざるのを防ぎ、残高確認をスムーズにするため、事業専用の財布を用意しましょう。 |
| 領収書やレシートを必ず保管する | 記帳の正確な証拠となるため、日頃からレシートを保管する習慣をつけましょう。 |
5. その他の台帳による管理
掛取引(ツケ払いなど)が多い事業者の場合は、出納帳に加えて「得意先台帳(売掛金元帳)」や「仕入先台帳(買掛金元帳)」を作成するのもおすすめです。取引先ごとの売掛金や買掛金の残高が一目で分かり、請求や支払いの漏れを防ぐことができます。
6. まとめ
「出納帳の書き方」の基本は、日付、摘要、金額、残高を取引ごとに正確に記録していくことです。
地道な日々の記帳と現金の照合作業は手間に感じるかもしれませんが、確実なお金の管理は、事業を円滑に運営していくための基本中の基本。本記事の内容も参考にしていただき、出納帳の適切な管理、運用を心がけましょう。
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