事業を運営するうえで、現金の動きを正確に把握することは非常に重要です。そのために欠かせないのが「金銭出納帳」です。
本記事では、事業の家計簿とも言える金銭出納帳の基本から、作成するメリットや具体的な書き方、そして効率的な作成方法まで、初心者にも分かりやすく解説します。
1. 金銭出納帳とは?
金銭出納帳とは、事業における現金の入出金(出し入れ)の状況と残高を、取引順に記録する帳簿のことです。「現金出納帳」とも呼ばれます。 銀行口座の動きを記録する「預金出納帳」とは異なり、商品の現金売り上げ、現金での備品購入、口座からの現金引き出しなど、事業における「現金」の動きは、すべてこの帳簿に記録します。
2. 金銭出納帳をつける3つのメリット
作成自体はすべての事業者に義務付けられているわけではありませんが、下表の通り、金銭出納帳をつけることには事業運営において大きなメリットがあります。
メリット各種 |
詳 細 |
| お金の流れの「見える化」 | 「いつ、何のために、いくらお金を使ったか」を時系列で把握できるため、無駄遣いを防げます。また、過去の数字から「来月はいくら現金が必要か」といった将来の資金繰りの計画を立てやすくなり、経費削減のヒントにもなります。 |
| 不正やミスの防止 | 従業員を雇っている場合、現金の管理がずさんだと数え間違いや不正な持ち出しなどが発生しやすくなります。金銭出納帳をつけて日頃から実際の現金と帳簿を照らし合わせる習慣をつけることで、これらへの強力な抑止力となります。 |
| 確定申告の準備がスムーズに | 青色申告の場合、法定帳簿として7年間の保存が義務付けられています。日頃から記帳しておくことで、決算や確定申告の準備が格段に楽になります。 |
3. 金銭出納帳に記載すべき6つの項目と記載方法
金銭出納帳には厳密な様式の決まりはありませんが、一般的に以下の6項目を記録します。月末には、その月の収入と支出の合計を算出し、翌月へ繰り越す「次月繰越」金額を記載して締めくくります。
必須記載事項 |
詳 細 |
| 日付 | 現金を受け取った、または支払った日付。同日に複数取引があっても、合算せずに分けて記入します。 |
| 勘定科目 | 取引内容の分類(売上、消耗品費、旅費交通費など)。 |
| 摘要(てきよう) | 「A社から売掛金回収」「タクシー代(◯◯駅〜事務所)」など、取引の詳細。 |
| 収入金額 | 現金が入ってきた金額(税込)。 |
| 支出金額 | 現金を支払った金額(税込)。 |
| 残高 | 取引後の手元の現金残高(前日残高+当日の収入-当日の支出)。 |
4. 手書き?アプリ?金銭出納帳の作成方法
金銭出納帳は、主に以下の3つの方法で作成できます。
出納帳の作成方法 |
詳 細 |
| ノートや手書きの帳簿 | 手軽に始められますが、計算ミスや書き損じの修正に手間がかかるため、現金取引が多い場合には不向きです。 |
| エクセルのテンプレート | 無料でダウンロードできるものが多く、残高の自動計算が便利です。誤って計算式(関数)を消してしまうと、正確な数字が把握できなくなるリスクがあります。 |
| 会計ソフトやアプリ | 最もおすすめの方法です。自動計算で数式破損のリスクがなく、レシートをスマホで撮影して自動入力できる機能を持つものもあります。確定申告書への数字の反映や口座連動も自動で行われるため、業務負担が劇的に軽減されます。 |
5. 金銭出納帳をつける際の3つの注意点
注意点 |
詳 細 |
| 帳簿の残高と実際の現金を必ず照合すること | 記帳して終わりではなく、必ず手元の現金と残高が合っているか確認しましょう。合わない場合は計算ミスや記帳漏れを疑い、どうしても不明な場合は「現金過不足」として帳簿上の数字を実際の現金に合わせます。決して自腹で補填してはいけません。 |
| 事業用とプライベートのお金をしっかり分けること | 現金残高を確認しやすくするため、事業用の財布とプライベートの財布は明確に分けましょう。もし事業用の現金をプライベートで使った場合は、「事業主貸」という勘定科目で処理します。 |
| 領収書やレシートは必ず保管すること | 後から確認するため、また確定申告の要件を満たすためにも、領収書やレシートは捨てずに保管(原則7年、白色申告の任意帳簿などは5年)しておく習慣をつけましょう。 |
6. まとめ
金銭出納帳による現金の日々の管理と正確な把握は、健全な経営を行うための第一歩です。自社に合った作成方法を選び、賢くお金の管理を行いましょう。
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